（あれこれ１）
　広島県の最低賃金は，平成27・28年10月１日午前０時の労働より，時給750・769円から769・793円に改定されました（午前０時から５時までの深夜割増を考えると961.25・991.25円ですが。）。
　この改定により、月170時間の従業員に払う最低賃金の月額は、127,500・130,730円から130,730・134,710円と3,230・4,080円の増となり、同じく最低賃金で雇っている週２０時間労働のパートなら週380・480円の増になります。

（あれこれ２）
　最低賃金には、地域別最低賃金及び特定最低賃金の２種類があり，769・793円は地域別最低賃金の方です。地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、広島県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されます。
　広島県内の派遣元から県外の岩国や笠岡に派遣された場合は，それぞれ実際に仕事をする派遣先の県の最低賃金が適用されます。山口県は731・753円で，岡山県は735・757円です。
　通勤手当が支払われていても，最低賃金の計算からは除外されます。

（厚生労働省のHP）　最低賃金制度　　　　（広島労働局のHP）　県内の最低賃金

（あれこれ３）
　一方，特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業（日本標準産業分類の小分類又は細分類）の基幹的労働者 (１８歳未満又は６５歳以上の方、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の方、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方などには適用されません。) とその使用者に対して適用されます。
　特定最低賃金の金額の改正は、関係労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定されています。
　現在（ H27.12.31発効）、広島県の特定最低賃金は、８業種について適用されています。金額が一番高いのは，「製鉄業、鋼材、銑鉄鋳物、可鍛鋳鉄製造業、その他の鉄鋼業」の882円で，最も低いのが「各種商品小売業」の805円です。
　地域別最低賃金に違反した場合には刑事罰（50万円以下の罰金）の適用もありますが，経済界から不要との意見もある特定最低賃金の場合は，民事法の適用（最低賃金に満たない部分は無効）のみなので，尻抜けとの批判もあります。

（あれこれ４）
　中国地方の小売業関係の地域別最低賃金は，広島県，鳥取県，岡山県は小分類「56各種商品小売業」，島根県，山口県は細分類「5611百貨店，総合スーパー」の産業について適用されています。
　馴染みの小売業を日本標準産業分類でみると，スーパーマーケット（SM）は「5811　各種食料小売業」，総合スーパー（GMS）は「5611百貨店，総合スーパー」，コンビニは「5891　コンビニエンスストア（飲食料品を中心とするものに限る）」に分類されています。

（話はそれますが，一般社団新日本スーパーマーケット協会は，スーパーマーケットにも日本標準産業分類に戸籍が欲しいと運動をしています。）

　

（以降はH27.10.7時点の記事）

したがって，ゆめタウンやイオンモールのようなGSM（テナント店舗での雇用は除く）の最低賃金は現在790円で，コンビニ，SMの769円と比較して21円高くなっています。
　平成27年10月7日時点でwebを回遊して，イズミ・ゆめタウン広島の求人を見ると，「【アルバイト(長期)】衣料品売場スタッフは790円」となっています。そごうの求人は「催事売場のアルバイトは800円～」でした。

　同じ日の求人検索サイトでは，「スパークのバイト769円～」と大方が対応済みですが，「アルバイト（18歳未満）760円」という求人情報もありました。また，ある地場スーパー＊＊＊＊のHPでは，「学生アルバイト750円～」と更新を怠っていました。